台湾日語教育学会 J-GAP TAIWAN第28回例会(全文PDF
主題:Can-do概念を取り入れた教室活動のデザインと教材作成 -A1A2レベルを例に-

日時:2015年1月10日(日) 13:00~17:00 (12:30~受付)

場所:文藻大学 明園J202 教室

講師:賴美麗助理教授  ( 文藻外語大學日本語文學系)

司会: 陳美玲先生(東呉大學)

参加者:29名(大学、中等教育、補習班の日本語教師、院生)

主辦:台湾日語教育学会J-GAP TAIWAN ・文藻外語大學日本語文學系

贊助:国際交流基金‧科技部人文社會科學研究中心

時間 内容
13:00-13:10- 文藻外大日文系林淑丹主任 ご挨拶研修内容の概要1.わかる、できる、つながるの定義

2.教材作成の際に遭遇した問題点

・Can-do概念を取り入れた教材作成

→・文型先行型からタスク先行型へ

・文型提出順を考え直す必要性

3.「真のコミュニケーション」を考えた授業内容、教室活動の工夫

 

グループディスカッション

(1)どのような授業を担当しているか。

またその授業でどのような教材を使用しているか。

(2)その授業の目標は何か。

J-GAP Taiwan第28回月例會a

J-GAP Taiwan第28回月例會a

(3)授業を担当するにあたり、教師間で話し合いが行われているか、また、何について話合われているか。

→①担当するクラスが様々で、教材も目標も異なるが、

どの学校も教師間の話し合いはあまり行われていない。

②文藻外大の目標

・学科でスタンダードがあるが、文型の習得が目標になっている。

・指定教材を使用し、定められた進度の通りに終わらせることが目標になっている。

③様々な問題点

・何ができるか/どのくらいできるかが分からない。

・教師間のつながりがない。

・時間不足

・適切な教材がない。

解決案】

基礎レベルから「コミュニケーション言語活動」の「Cando(できる)」を目指す

その利点

・言語構造能力だけではなく、コミュニケーション能力も育つのでは。

・意味を伴う言語形式をインストラクションするとより能率的に学習できるのでは。

 

目指すべき目標

わかる:言語知識の理解

できる:日本語を使って何かができる。

つながる:日本語で人、社会、世界とつながる。

14:00- 二、Can-do概念を取り入れたA1A2レベルの教材作成Can-doの説明

文藻の初級会話教材『考えて話そう 初級日語會話/Ⅱ』

の開発の経緯

背景

・一年生の会話教材に適した会話教材が見つからなかった。

・既習文型を使用した会話教材の必要性を感じた。

教材

『考えて話そう 初級日語會話Ⅰ/Ⅱ』

→ゴールが先にある。

文型を使って○○ができる。

 

会話教材を作成する際の問題点

J-GAP Taiwan第28回月例會b

J-GAP Taiwan第28回月例會b

各課の文型と文型の関連性が見られない。

→・同じ課の文型が使える会話の状況が想定しにくい。

・すべての文型を網羅することができない。

状況に合わせ、なるべく自然な会話を作るには。

→未習文型を入れてしまうことがある。

 

文型先行型→タスク先行型

コミュニケーションの目的があり、そのコミュニケーションの場面を考えて、必要な文型を作る。

 

フロアーからの質問と議論

Q「つながる」とは何か

A学科間の縦、横の繋がりや、教師間の繋がりがあるが、本日は人との交流(つながり)も考えられる。

Qインフォメーションギャップ型のタスクがパターンプラクティスの練習だとすれば真のタスク型のコミュニケーションとは何なのか。

A3つ目のテーマにて話す。

Q文型中心が悪いのか。積み上げはきちんとできる。タスク型ではパターンプラクティスが不必要なのか。

Aパターンプラクティスが悪いわけではない。順番をタスクを先に考えてそれからパターンプラクティスをする方が時間の節約になると考えられる。

意見  会話の授業ではタスク中心、学生中心に行っている。

学生の学習意欲に関して困っている。

Q 例文を「プレゼントをあげる」という設定はなぜか。

A 交流会でプレゼントをあげる習慣があり、学生に多く使われる場面であるので。今回のA1の学生の設定にも合う。

意見  台湾の学生は文法積み上げ型で習っているので、目型の学生が多い。文型がないのは学生の方が不安。学生の要求に合わせてタスク型のと文型をどう合わせていくかを考えていかなければならないのではないか。

意見

・初級から言語の学習者は同時に使用者である。会話、文型などと別々に与えるのではなく、時間を圧縮して同時に与える。

・能力試験でレベルを図るのではなく、使うことができるかどうかでレベルを図る方法も必要だ。

・高校で学んでいても、大学に入ったら、また最初から。次第に興味が薄れていく。移動する学習者が増えるのでこの点についても考えていかなければならない。

 

15:00-教材を作成グループ作業 各グループで共同作業で教材を作ってみた。6グループの主題は以下の通り:1.友達に台南の食べ物を紹介する

J-GAP Taiwan第28回月例會c

J-GAP Taiwan第28回月例會c

2.ものの売り買い

3.台湾に来た日本人留学生にアドバイスする

4.レストランでの注文

5.夜市の案内

6.日本物産展で日本人社員と話す。

それぞれのグループに対して個人が説明などを付箋で意見交換する。

 

16:20-まとめと議論 真のコミュニケーションを考えたA1A2レベルの教室活動使用する教科書に現実では使わない会話がある時、工夫が必要。そのポイント:

1.いつ誰が誰に何のために話すのかを考える。

2.文型を提示する際に、文脈(場面、状況)も提示する。

3.教科書の文字、語彙に縛られないこと。文脈、場面に必要な未習語彙、学習者が使いたい語彙をできるだけ取り入れる。

4.文脈、場面に必要であれが、未習の表現を提示したり、文型の提出順を変えたりしてもよい。

 

真のコミュニケーションを考えた活動とは

ビジターセッション

SNS等

ビジターセッションの実践例

・日本人をゲストとして呼び、学生に学校の案内をさせる。

・日本人のゲストを審査員として呼び、教室でどっちの料理ショー!

・日本人をゲストとして呼び、学習者が作った町の紹介のPPTを見てコメントを書いてもらう。

 

まとめ

学習意欲につながるもの

J-GAP Taiwan第29回月例會d

J-GAP Taiwan第29回月例會d

(1)正当に評価されていると感じたとき。

(2)自分のことを気遣ってくれる人がいる。

(3)楽しいと感じたとき。

(4)やっていることに意義があると感じたとき。

JFSの「相互理解のための日本語」の概念と共通するものがあるのではないだろうか。

 

質疑応答

Q先生に対して日本語で話をするのか。生のコミュニケーションができるのは日本語教師しかいない。非母語話者の先生でも日本語で話をするべきなのではないだろうか。

A初級ではあまりいない。2年生になれば日本語を使って話す学生も増えてくる。1年生ではFBで日本語でやりとりをする。

アドバイス

日本人の教師に必ず質問してくるように課題をだしてみては。

Qビジターセッションは読解の授業で行ったのか。読解の授業でCan-doを取り入れられたらいいのではないか。多人数であって、学生も文型を期待している授業の中でCan-doをどう取り入れていけばいいのか。

Aグループで発表させている。パワーポイントをチェックするのも一苦労である。しかし、学生が達成感を得られればそれはそれでよい。時間に余裕があれば、これからもビジターセッションを取り入れていきたい。

やるたびに工夫をしていかなければならない。

アドバイス:多人数のクラスであれば、文型教育が適しているのではないか。多人数の場合では無理矢理タスク型にする必要があるのか。クラスのサイズにあった教授法を考えていくべきではないか。

 

陳先生

1.日本人と話すことだけが真のコミュニケーションなのだろうか。

台湾人の先生と日本語で話すことでも真のコミュニケーションだろう。学生に目標言語の環境を与えることは教員の責任であろう。

 

2.大人数の学生と少人数のクラスの教育方法について

学生に何かをさせることをしていかなければ一方通行の授業になってしまう。考えさせないと学生はいつまでも待っているばかりである。教員も新しいことにチャレンジしていこうではないか。

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